3 海辺の山(小田原根府川) 1967年 25P

      

根府川海岸で写生をしていたら 散歩の人が立ち止まり

話しかけてきた「ここはよく描きにくる人がいるのですよ

でもヤクザな絵描きが多くてね あなたのは良い」と言われた

「ロッククライミングができるような山になっているね」

「それは僕の願望です」と言った

   

この頃垂直思考 上昇志向が強く 身の回りにそれ

を満たすモチーフがなく 抽象でデッサンをやっていた

直線が組み合って三角形を成し鋭角になりながら上昇していく

というムーヴマンだ

    

その方は近くに住んでいる絵描さんだった

誘われるままに家にお邪魔し 楚々とした奥様?にお茶をごちそうになった

その方の絵も見せていただいた 正直その時僕はその絵をよく解らなかった

それからずっとご無沙汰してしまったが後に展覧会で見て感動した

師のない また発表もしていない私だったがこの時誉められたことはことは嬉しかった